自然界のバランス

椿群生林で育まれた海塩

山口県萩市の笠山(かさやま)は、波が荒いことで知られる日本海に面した陸続きの小さな島です。ここには2万5千本の“椿群生林”があり、冬から春にかけて毎年15万人もの人々が椿見物に訪れます。萩の塩は“椿群生林”の西側に隣接する「虎ヶ崎」(とらがさき)から汲上げた海水で作られます。
「虎ヶ崎」の海岸一帯は、黒びかりのする大小さまざまな火山岩でおおわれており、日本海を臨むその景色は美しく、夕陽がきれいなことでも知られています。
この一帯は「北長門海岸国定公園」に含まれており、自然が守られています。樹木は勝手には伐採できません。海水の採取場所は岩場で近くの樹木によって生み出される栄養塩類が海に染み出る地形的条件を備えています。海底の岩に藻が繁茂していることがそのことを物語っています。周辺には民家がなく、生活廃水も流れないので塩作りには申し分のない環境です。
「萩の塩」の栄養塩類は、自然界のバランスのままです

笠山山頂から虎ケ崎を望む

塩作りに適した海水

ここ「虎ヶ崎」の海水にはもう一つ、塩作りに適した条件があります。萩の海水の塩分濃度は通常3.4%程度ですが、「虎ヶ崎」の塩分濃度は3.7%以上あります。その理由は、「虎ヶ崎」が日本海に突き出た笠山の北西側にあり、そのすぐ近くの北東側に椿群生林があることと、周囲に河川がないからだと考えられます。このような自然環境が栄養塩分を含むきれいな塩を作る条件を満たしていると言えましょう。
きれいな日本海から「萩の塩」

日本海に突き出た虎ケ崎

マグネシウムの吸湿性

「萩の塩」には、マグネシウムなどの栄養塩類が自然界と同じバランスで含まれており、丸みや甘みを感じ、それらが塩のまろやかさに直結します。カリウムは直接なめると刺激的な味がしますが、少量だと料理の中で逆にうまみを感じさせます。お料理では、素材とのなじみの良さも考える必要があります。
素材とのなじみの良さは、主には結晶の大きさに関係します。「萩の塩」のように粒子が比較的小さいものは、直火での平釜焚きが溶けやすいです。つまり、溶けやすい塩は食材となじみがよく、振り塩では分散性にも関係します。なお、海塩(海水塩)は吸湿性が高いマグネシウムが多いので、湿気を吸いやすくべ夕付く場合があります。この場合は、一度鍋で”からいり”してから水分を飛ばし、手でもみほぐす方法がとられています。
海塩に吸湿性があるのは、マグネシウムなどの栄養塩類があるからです

甘くてまろやかな萩の塩